ぱわれす でいず 55 マーケティング篇 01/4/23

「腋」について思索する毎日である。先月は「借金」について考えていた。
このようにいきなりお題を与えられ、それについて無理やりにも「答え」を出すのが我々の仕事なのだ。
わぁ、こう書くとかっこいいな。でもそんなことにホイホイ答えが出せるようなら苦労はしないわけで、一生懸命考えてもいつもまるですかたんなことしか思いつかない。あー難しいよわかんないよー、と弱気になっていたところ、一冊の本を見つけた。1995年発行の電通総研「大予測」。そこにきっぱりと「2001年、イタリア系ダブルスーツの再流行とボディコンの復活」と断言してあった。天下の電通にしてこれ。ちょっと勇気が湧いた。

今日も「腋」についてつらつら考えながら歩いていると、墓石屋の前で何かめちゃくちゃ違和感のある物が目に入って思わず立ち止まった。
「墓石でできたミッキーマウス」だ。手書きのPOPが何か言っている。「お墓じゃないよ!玄関に飾ってね!」
自己申告したってダメだ。どう見たって墓だろお前。しかも変な奴の。
「これからは人口も減るし、墓だけ作っててもダメだ。なんかこう、若い女性に受けるようなものを売れんか」「若者にはやっぱディズニーでしょう!」
そんな「答え」を出すマーケ担当もいるわけだ。そして商品化してしまう企業も。またまた勇気が湧いた。

そんなわけで気を取り直して「日本の腋の未来」を考える私であった。
そして来月のお題は「歯垢」である。



ぱわれす でいず 53 ユニバーサルスタジオ篇 01/3/23

仕事さぼってUSJに行った。
どういうことなのか聞かないでほしいが、「関西経済同友会」の「新世紀の日本を考える」という企画に参加させられたのだ。

「関西の経済人」が「日本の将来を考える」のはいい。しかしそれでなぜ「家人と私」が「USJに行く」ということになってしまうのか。悪いことに私ははやり物にもハリウッドにも興味がない。そんな人間がやむを得ぬ仕儀でUSJ。世の中とは複雑なものである。

今日はオープン前の招待日で、比較的人も少ないということだが、どのアトラクションも当分1時間待ち。とんでもない話である。どうしたもんですかね、と振り向くと、いきなり家人がリュックから犬を取り出した。
「USJに入場した最初のAIBOや」
は・・・はぁ、そうですね。

それからはひたすらあちこちにAIBOをあしらって写真を撮る。ロボットに思い出作ってやってどうする。こんな奴らを招待したのは誰だ。


USJはなるほどすごかった。ウォーターワールドのショーもバックドラフトの火も度肝ものだった。でもぜんぜんpowerlessじゃない。当たり前な話だが。だから私はあまり惹かれない。私が今日いちばん反応したのは、行きのバスの窓から発見した「業務用タコ卸業」「お好み焼き¥100」の看板だった。お好み焼き屋の屋号は「幸福(しあわせ)」。

ワンダーランドは巷間に在り。




ぱわれす でいず 52 信頼篇 01/3/11

待ち合わせ場所に家人が来ない。
店から閉め出されて、それでも来ないのでケイタイにかけてみた。すると「今"駅長室"に連れてこられている」という。
・・・えきちょうしつ?
「いや僕が悪いんちゃうねん。すぐ解放されると思う」
???

さっぱり要領を得ぬまま電話は切れる。駅長室って、解放って、もしかしてチカンに間違えられたか? だったら大変。みんなにメールしなくちゃ。これは爆笑もの。
と、ケイタイで「日下氏チカン疑惑!? 続報を待て!」とメールを打ちかけて、「待てよ」

もしかして、「間違えられた」のではなくてほんとに「実はチカン」だったりして。うわーそりゃびっくりだなー。でも家族がいちばん気づかないって言うし。わからないもんだ人間って。

と、ほっておくとどんどん想像がそっちへ走る。抑制機能はないのか愛とか信頼とか。中学で習った「走れメロス」は何の役にも立ってない。

そうこうするうちに家人が姿を現した。聞くと、酔っぱらいのケンカの目撃者として証言していたとのこと。なんだぁ。
「なんだって、何が?」「いやいや、なんでもない」

裁判費用について考えていたなんて言えないのでした。




ぱわれす でいず 51 風邪の日の過ごし方篇 01/3/11

こんな季節に風邪を引いちまってなんだか情けないことになっている。花粉とウィルスの合わせ技で顔面が水っぽい。どれが花粉のくしゃみでどこからが熱のナミダ目なのか判然としないがとにかくうっとおしいことである。

風邪なのに宴会をする。
みんなこの家のどこに何があるか熟知しているので、私は何もしなくても勝手に料理ができ、ビールが冷え、がんがん盛り上がっていく。確か送別会のはずだが、一瞬たりともしんみりしない。家に「音響装置」を備えたのが奏功したのか災いしたのか、すっかり「歌声広場」と化している。12時を過ぎ、「石井風邪なんだからもう寝ろ」と言われ、私は客を残して寝る。しかしカラオケボックスの上で寝ている気分。「栞のテーマ」を絶唱するのはSくんか。
ハッピーな気持で眠る。

風邪なのに日本橋へ行く。
普段PCショップにしか行かないので、生活家電の店に入って心底仰天した。世の中こんなことになってるとは。炊飯器、洗濯機、湯沸かし器、アイロン、鉄腕アトムに出てくる21世紀の機械みたい。私が昭和50年代の電化製品使ってるせいか、どれもめちゃくちゃ未来な形だ。今の若い夫婦はこんな夢みたいな機械に囲まれて生活してるのか。いいなぁ。私もR2−D2みたいな掃除機ほしい。マイコン制御の扇風機ほしい。いや、タイマーがついてるだけでもいい。首振ってくれるだけでも。



ぱわれす でいず 50 中国事情篇 01/3/3

家人が中国出張から帰ってきた。香港の隣、SHENZHEN(シンセン)経済特区の工場見学だ。
「旅行、どやった?」と訊くと「向こう側がかすんで見えないくらい女子作業員が並んでた」
よっぽどインパクトがあったとみえる。地平を埋め尽くす乙女の大群。確かにうなされそうだ。
その子たちが三交代で、「3.0の視力」で検品し、部品を実装するという。あやうし日本製造業。

家人が出発する前、香港で暮らしているMちゃんに「SHENZHENってどんなとこ?」と聞いてみた。以下、勝手にMちゃんのメールから引用。
駅前の「羅湖商業城」はテナントのほとんどがコピー商品の販売という海賊ビル。5本買ったソフトの3本は使えなかったそうだが、それでも正規のソフト1本より安いから結局勝ち?
「映画館にビデオカメラを持ち込んで撮影した映画のDVD」も売っている。画面を横切る人の姿や観客の話し声まで入っているという楽しいもの。文字通り家で「映画館気分」だ。いやだそんなの。

中国各地方から少数民族の人々を連れてきてその生活の様子を見せるというものすごいテーマパークもあるそうだ。人権だとか細かいことは言いっこなし。そこで毎晩行われるパレードは「百芸盛」と呼ばれる。百芸盛。すごいなぁ。6オクターブで歌ったり、肩車10人で馬に乗ったり、我が目を疑う芸が次から次へ。いや、想像で言いました。すみません。

そんな妄想をさそう国。奥、深すぎ。



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