ぱわれす デイズ 63 居酒屋コール篇  01/6/20

3年ぶりにヘアーサロンに行った。おかげですっかりメグ・ライアンだ。面と向かってメグ呼ばわりされても甘んじて受けよう。

しかし私の知らない間に美容院がこんなことになっていたとは。客も美容師も男ばっかり。いやそれより驚いたのは「かけ声」だ。

何かする度に「シャンプー入ります!」「カット入ります!」「ブロー入ります!」
その都度全員で「お願いいたしますー!」
「かしこまりましたー」

日曜の午前、満員の店内はかけ声の嵐。つぼ八かここは?北の家族か?

「串焼きふたつ!」「はいよろこんで!」
「ビール追加!」「こころから!」

着てるものがはっぴかピタTかの違いで、中身はおんなじなのだ。スタイリスト=板さん。スタッフ=店員。アシスタント=皿洗い。そういえば、切ったり洗ったり、やってることも似てる。ヘアーサロン居酒屋論。いけるかもしれない。何がだ。



ぱわれす でいず 62 Happy Plant篇その2  01/6/13

もう先週から木のことしか考えていない。寝ても木。覚めても木。なかなかなとりつかれ具合。
いったんとりつかれると、isiiなにしろ「財力」があるものだからたいへんである。がまんしなければならない理由が何もないのだ。会社の机に並べた鉢は増殖の一途。それに如雨露に霧吹き、ホコリ取り用ミニ箒と、周辺機器も充実。書類を広げる場所もない。
朝来たらまず水やりが日課となった。その後日の傾きに合わせて30分ごとに鉢の異動。私がブラインドを下ろさせないので、隣席の人(局長なのだが)も木と一緒に日光浴を強いられている。

次は「タコの木」を買いたいのだが、もう机にはスペースがない。電話を引き出しに入れるか。あ、局長の机、
広い。
今週のプチぱわれす
会社のFくん、昼間からいきなり
「isiiさんの”好き具合”ってどんなもんですか?」
「・・・い、いやあの・・・普通・・・くらいと思うけど・・・」(ウロ)
「じゃちょっと手伝いお願いします!」

彼は手の”空き具合”を聞いたのでした。



ぱわれす でいず 61 Happy Plant篇  01/6/7

靱公園の南側に「亜熱帯」専門の園芸店がある。「樹好き」の私にはパラダイスだ。

isiiが「樹好き」とは知らなかった、と思っているでしょう。私も知らなかった。しかしその店に入って気づいた。覚醒した。私は樹が好きだ。正確に言うと熱帯雨林好きだ。がじゅまる。とっくりヤシ。パキラ。カポック。ボトルツリー。名前も姿かたちもきわめてご陽気。イングリッシュガーデンのインテリ然とした端正な草木に比べれば、何も考えてないまるだし。あーお日さま照ってるしあわせー。あー雨降ってきたしあわせー。
そんな樹々と暮らしたらこっちもHAPPYになれそうだ。息子にしたいのはやっぱりイチローより新庄。

と、訳の判らないことを考えながら、とりあえずひと鉢、と、その中でもいちばん悩みのなさそうな樹を買った。これだ。店のお嬢さんに名前を聞くと、「オーナメント・ポテトです」。
「・・・芸名だな」と思ったが、あえて問いたださなかった。家で調べてみると、

「食わずイモ」

・・・・芋だったのか。「ポテト」と言われた時点で気づけよ。

まあいい。マイ・芋はこのコラムを書いているPCの横でうれしそうに座っている。たぶん台所の床でも物干しの下でも、会社に連れて行ってもうれしそうにしているだろう。新しい葉も伸びてきた。
芋が来てから4日。私は明らかにしあわせだ。



Powerless Days 60 敗北価格篇  01/6/2

外は28度。もう夏である。
なのに当家はまだホットカーペットを敷いてるしストーブも出ている。家が北向きで薄暗いし、昼間はいないので、「もう冬ではない」ということに気づきにくいのだ。なんだか暑苦しいなぁ、とふと考えてみればもう6月。「ゆでガエル」というのはこういうことだろうか。

気づきはしたが、カーペットを換えるのは途方もなく面倒なのでそのままにしている。暑いのでホットカーペットの上に籐座布団を敷いたりして。よく考えれば毎年そうだ。暑くてがまんができなくなるまでホットカーペット。寒くてがまんできなくなるまで籐カーペット。
ついでに自分がだらしないということにも気づいた。
コートもクリーニングに出さないとな。

***

今日の新聞に「大不況の為 倒産大処分市」のチラシが入っていた。

やるだけのことはやりました。満足です
もうこれ以上はの限界プライス
国内ブランド品からインポートまで、敗北価格で大放出


いいセンスだ。紳士高級ビジネスシューズが798円。エルメスバーキンタイプバッグが1980円。

品揃えもなかなか。



ぱわれす でいず 59 出会い系サバイバル篇  01/5/28

「恋する客船」
というiModeゲームがある。キャッチコピーは「沈みゆく豪華客船ですてきな出会いをゲット!」
「沈みゆく豪華客船」の悲壮感と「すてきな出会い」のウキウキ感。気持ちをどちらにチューニングすればいのいか全然わからないが、それはそれ、これはこれ、ということだろうか。考えてみればあの「タイタニック」だって一言で言えば「沈みゆく豪華客船ですてきな出会いをゲット!」だ。(違う?)

ゲームはリアルタイムで進行し、沈む船の中からパートナーを見つけて一緒に救命ボートで脱出すればクリア。ボートは二人一組と決まっている。沈みだす船の中を走り回ってパートナーを捜し、チャットでお互い気に入れば一緒に脱出。

「こんにちは」
「こんにちはー」
「どこから来たの」
「大阪」
「あ、僕のいとこも大阪なんだー」

どんどん浸水する船室の中でこんな会話が交わされる。やはりこれはまぬけと言わざるを得ない。

それに、乗船時にこんなプロフィールを登録するんだけれども、なんかこれって間違ってないか。誠意に欠けてないか。ゲームと言えばそれまでにしてもだ。

しかし私の場合、▼女性 ▼38 ▼趣味:HP作り・・・この時点ですでに海のもくずになったも同然。

ちょっと納得できない。

出会い系サバイバルゲーム「恋する客船」はコナミから、近日配信。




ぱわれす でいず 58 おみやげ篇  01/5/21

会社に外国の賓客が来た。
上司が私を呼んで言う。「なんか、おみやげに渡すもん買うて来てえな。なんかこう、大阪!ちゅうもん」
「・・・大阪!・・・ちゅうもん・・・ですか」
私の脳裏に吉本饅頭と六甲おろしのペナントが明滅した。
しかし私が口を開く前に、「それでやなぁ、なんかこう、ウンチクのあるもん。渡すときに、これは太閤秀吉ゆかりのナントカで、先生の武運長久を祈念いたしましてお贈りしますー、とか、言えるやつ。」と、ばん!と1万円札を。
「・・・は・・・はぁ・・・」

みんなに助けを求める。色々言ってくれる。「大阪城のプラモデル」「オリンピックを大阪に!Tシャツ」「食いだおれのキーホルダー」「道具屋筋のスパゲッティの模型」「たこ焼きの鉄板」「お好み焼き味のプリッツ」。
ウンチクだってば。1万円だってば。

途方に暮れつつ百貨店をさまよう。だんだんヤケになって来たところへ、はっと見つけたのは「招き猫」。これでしょう。ラッキーキャット。ガーディアン・エンジェル・オブ・マーチャント。
会社に電話を入れて、
「招き猫でいいすか!?」
「・・・あのな、そゆもんやなくてやね、もちょっと格調高い、一刀彫の高砂人形とか、あらへん?」
言ってくれよ。そこまで決めとったんなら言ってくれよ。

目をつぶって高砂人形を買う。もらってうれしいかなんてこの際どうだっていい。おみやげなんてそんなもんだ。

おみやげと言えば、どういう用事でだか「グアムに出張」していた家人が買ってきたのがこれ

どうしたもんでしょうか。



ぱわれす でいず 57 わけありのタコ篇  01/5/13

ファンキーな首相の誕生で、ニュースも楽しい昨今だが、さりげにこんなニュースが。

マルハ、特恵関税悪用し無税タコ輸入

「セネガル産のタコ」を「ガンビア産のタコ」と偽っていたという。
これだけではどこがどう事件なんだかよく呑み込めないが、やっぱタコはガンビアよ、活ダコは明石だが、冷凍はガンビアだぁね、というわけではなくて、ガンビア産だったら関税がつかないんだそうだ。それで脱税10億。何でばれたかというと、地図参照。
黄色がガンビア、緑がセネガル。ガンビアにはこんだけしか海がないのに、いきなりセネガルの数十倍もタコが捕れたら、そりゃばれるわ。海の男はやることが豪快だ。
しかし罪状が「タコ」というのは。どうせならクジラとかマグロで逮捕されたかったと思ってないだろうか。

しかし我々が日々食べているたこ焼きのタコも、様々な事情を抱えつつはるばる西アフリカからやってきているかと思えば感慨深い。複雑系グローバル社会に生きる私たち。&タコ。



ぱわれす でいず 56 理科系篇 01/5/1

家人と「いちょう祭」に行った。
大阪大学の各学部が研究展示などを行う行事だ。吹田キャンパスは万博と同じくらい広いが、あれ?屋台は?ステージは? 「そんなもんあるかいな。研究展示やいうてるやん。学園祭ちゃうで」

古い研究練に入る。昔の中学校みたいなすごい旧式校舎。
公開内容。「量子ビームの時間・空間極限現象の追跡」「真空の中で新しい半導体を合成・評価する」
・・・これは・・もしや? と看板を見れば工学部。それも産業科学研究所。来場客は少ない。というか、いない。
「一緒にポリフィリンを作ってみよう!」「原子になって蛋白質の内部を体験しませんか」
「歩み寄ろう」という姿勢は評価したいが、ナンパじゃないんだから。しかもポリフィリン。

研究室の中は、まったくの異世界。なんですかこの、なんていうのか、カタマリ。ヒマ持て余し風情の学生さん達は、少しでも何かに興味を示そうものなら飛んで来て説明してくれる。「これはですね、Siなどのシリョウをチョウコウシンクウ状態でジョウチャクさせる装置です」
うううー
「分子構造には右手と左手があるのはご存じですか?」
・・・分子に手・・・?
「じゃあの、クロマトグラフ・・・って・・・・」
・・・・・
ああ申し訳ない。わかってあげたいこれがどんなすごい研究なのか。

万事そんな調子で、研究者達を困らせながら(私も困りながら)こんな部屋あんな部屋を渉猟。「原子間力顕微鏡」を覗いたり、液体窒素でターミネーターごっこをして遊ぶ。USJより断然おもしろい。

こんな装置に囲まれて、有機金属化合物を合成して暮らす人生もあるのだ。またひとつ開く、知らない世界の扉。生まれ変わったら科学者になりたい!と今心の底から思っている私である。

※日下氏もisiiも阪大には何のゆかりもありません。なんだか楽しそうなので遊びに行っただけなのでした。



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